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負ける痛み、進む勇気

崩れ落ちた僕を、母の言葉が支えた夜


高校囲碁全国大会、ベスト8をかけた大一番。
最後の一手を誤って1目半の逆転負けを喫したボクは、息苦しさと涙で市ヶ谷のトイレの床に崩れ落ちていた。
「なんで……どうしてこんな一手を打ったんだ……」
震える手で母に電話をかけると、受話器の向こうからいつもの静かな声が聞こえた。
「ああ、負けちゃったのね。
でも、ここまでよく頑張ったね。悔しいって気持ちは、本気で闘ったからこそよ。
いまは思い切り泣いていいよ」
その言葉を聞いた瞬間、声にならない嗚咽が溢れ出す。
母の言葉は、いつだってボクの心に真っ直ぐ届いて、壊れそうなところを支えてくれる。