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囲碁の歴史を未来へつなぐ知の冒険

未来を創る、大きな夢


4000年の歴史を未来へつなぐ知の冒険

お母さま、今日も本当にお疲れさまでした。
家事や育児、仕事に追われる毎日の中で、お子さまの寝顔を見て「この子の未来をどう支えていけばいいのだろう」と考えることもあるかもしれませんね。
その未来を育むきっかけとして、囲碁という遊びを知っていただけたら嬉しいです。
囲碁は、ただのゲームではなく、4000年の歴史を通じて人々に知恵や勇気、思いやりを伝えてきた文化そのものです

古代中国で生まれた囲碁――宇宙を象徴する遊び

囲碁の誕生は、約4000年前の古代中国に遡ります。
碁盤は宇宙の秩序を象徴し、碁石は星々を表していました。
当時の人々は、囲碁を通じて天体の運行を再現し、暦を作成するなど、未来を見通す力を得ようとしました。
囲碁は単なる娯楽ではなく、知的訓練の場として発展しました。
その「考える力」を育む文化が、今日に至るまで受け継がれています。

囲碁が日本に伝来し、文化として根付く

囲碁は飛鳥時代に中国や朝鮮半島を通じて日本に伝来し、奈良時代には貴族や僧侶の間で親しまれるようになりました。
平安時代になると、囲碁は貴族の教養として定着し、『源氏物語』や『枕草子』にもその描写が見られるなど、文化的要素として大きな役割を果たしました。
囲碁は人間関係の駆け引きや戦略を楽しむものとして、貴族社会で重要な地位を占めていました。
また、正倉院には囲碁に関連する貴重な宝物が収蔵されています。
奈良時代に制作された「木画紫檀棋局(もくが したん ききょく)」は、精巧な象嵌技法で唐草模様や宝相華が施された囲碁盤で、その美しさと工芸技術の高さから、日本における囲碁文化の初期の姿を物語る重要な遺産です。
さらに、「黒白棋子(こくびゃく きし)」は黒瑪瑙や白玉を素材とし、均整の取れた形状と滑らかな手触りを持つ碁石で、当時の高度な加工技術を示しています。
ガラス製の「玻璃棋子(はりの きし)」は透明感のある美しい輝きと色彩の豊かさが特徴で、シルクロードを通じた国際的な文化交流を象徴しています。
こうした正倉院の宝物は、日本における囲碁文化の深いルーツとその価値を伝えています。
囲碁はただの遊びではなく、知識や社交を深める手段として、貴族の暮らしに欠かせない存在となりました。

戦国・安土桃山時代の囲碁――戦略を磨く武士たち

戦国時代には、囲碁は武士たちの戦略訓練として重要視されました。
織田信長、豊臣秀吉、徳川家康といった戦国大名たちは、囲碁を愛し、次の一手を考える中で戦略的思考を研ぎ澄ませていきました。
秀吉が主催した「御前試合」は、その象徴的なイベントの一つです。
この試合で、本因坊算砂が初代名人として認められ、囲碁の家元制度の基礎が築かれました。
この制度により、囲碁は武士の教養としての地位を確立し、社会的な評価を高めていきました。

江戸時代の隆盛と家元制度――囲碁が広がる時代

江戸時代に入ると、囲碁は家元制度のもとでさらに体系化されました。
本因坊、井上、安井、林の四大囲碁家元がそれぞれ高い技術を競い合い、棋士の育成も盛んに行われました。
将軍の前で行われる「御城碁」は、棋士たちにとって最大の名誉の場でした。
その勝敗は、家元の名声にも直結する重要なものだったのです。
また、庶民の間でも囲碁は広まり、多くの碁会所が設けられました。
囲碁は庶民にとって、情報交換や社交の場としても機能しました。
葛飾北斎の浮世絵には、囲碁を楽しむ庶民の姿が描かれています。
さらに、囲碁は国際交流にも役立ちました。
朝鮮通信使との対局は、文化交流の象徴的なイベントであり、囲碁を通じて外交の場でも関係を深める役割を果たしていました。

近代から現代へ――進化する囲碁

明治維新後、囲碁は一時衰退しましたが、1879年に設立された「方円社」や、1924年に創立された「日本棋院」によって復興しました。
囲碁は、新しい時代にもふさわしい形で受け入れられ、新聞棋戦や国際棋戦を通じてその価値を広めていきました。
囲碁は、伝統を守りながらも、変化を恐れず進化を続けているのです。

AIとともに迎える新時代

囲碁は、現代においてもさらなる進化を遂げています。
2016年、GoogleのAI「AlphaGo」が世界トップ棋士に勝利したことで、囲碁界に革命が起きました。
プロ棋士たちは、AIを活用して新たな戦術を学び、技術を磨いています。
また、日本の井山裕太棋士は2016年に「七冠同時制覇」という前人未到の偉業を達成し、2018年には囲碁界初の「国民栄誉賞」を受賞しました。
この功績は、日本だけでなく世界中の囲碁ファンに感動を与えました。

若きリーダーたちが未来を切り開く

現代の囲碁界では、一力遼、上野愛咲美、仲邑菫といった若い棋士たちが、新たな時代のリーダーとして活躍しています。
一力遼は2024年に国際棋戦「応氏杯」で優勝し、19年ぶりに日本を世界の頂点に導きました。
上野愛咲美は「呉清源杯世界女子囲碁選手権」で日本女性初の優勝を果たし、仲邑菫は日本最年少のプロ棋士として注目を浴び、2024年には韓国棋院に客員棋士として移籍し、韓国で「女流棋聖戦」と「女流国手戦」の二つのタイトル戦で決勝三番勝負を争いました。
彼らの挑戦は、囲碁が未来を切り開く力を持つことを証明しています。

お母さまへ――囲碁が広げる未来の可能性

お母さま、毎日お忙しい中、本当にお疲れさまです。
囲碁は、長い歴史を持ちながらも、時代とともに進化し続ける知的な遊びです。
囲碁を通じて育まれる「考える力」「集中力」「思いやり」は、お子さまの未来を明るくする大きな力になります。
お子さまと一緒に碁盤を囲み、石を一つ置いてみるだけで、新しい世界が広がります。
「少し興味がある」「ちょっとやってみようかな」――それだけで十分です。
無理をせず、ゆっくりと楽しみながら囲碁の魅力を感じてみてください。
今夜、お子さまの寝顔を見ながら、囲碁がつなぐ未来の可能性を思い描いてみてください。
その未来にはきっと、お母さまとお子さまのたくさんの笑顔と成長が待っています。
おやすみなさい。
あなたとお子さまの未来が、たくさんの笑顔に満ちたものとなりますように。