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近代囲碁の再生と発展

家元制度が崩壊した囲碁は、方円社の設立や日本棋院の創立を通じて再生を果たしました。
その後、新聞棋戦の活性化や国際棋戦の発展により、囲碁は国内外で大きな飛躍を遂げています。


明治時代 - 囲碁界の変革と再建

1867年の明治維新は日本社会全体に大きな変化をもたらし、 囲碁界にも大きな影響を及ぼしました。
江戸時代においては幕府の庇護を受け、 家元制度によって管理されていた囲碁ですが、 明治維新の成立とともに幕府が崩壊し、 家元たちは生活基盤を失うことになりました。
特に本因坊家や井上家などは俸禄の廃止により経済的に苦境に立たされ、 囲碁全体の社会的地位も低下してしまいます。
この状況を打開するため、1879年に村瀬秀甫と中川亀三郎が「方円社」を設立し、 家元制度に頼らない囲碁の近代化と普及を目指しました。
方円社は棋譜の普及や級位制の導入など、 斬新な取り組みを積極的に行い、 新聞紙上を使った「郵便碁」により庶民の間にも囲碁が広がるきっかけを作りました。

日本棋院の設立 - 近代囲碁の礎

明治以降、家元制度の崩壊により囲碁界は複数の組織に分かれ、 混乱が続いていました。
関東大震災後に囲碁界再建が叫ばれる中、 実業家で囲碁愛好家の大倉喜七郎の尽力が大きな役割を果たします。
1924年には「棋界合同協議会」が開かれ、 東西の棋士が集結して一本化を図り、同年7月17日に財団法人「日本棋院」が設立されました。
これにより、棋士の地位向上や棋戦の主催、 普及活動などの一元的な運営体制が整い、 近代囲碁の基盤が築かれました。

大正・昭和時代 - 黄金期の到来

昭和初期には、呉清源と木谷實が「新布石」を提唱し、 それまでの定石にとらわれない大胆な戦術が登場しました。
また、1935年に「名人戦」が復活し、 以後「本因坊戦」「王座戦」「十段戦」など多くのタイトル戦が創設され、 棋士同士の熾烈な争いがファンを魅了しました。
藤沢庫之助や坂田栄男、高川格など個性あふれる棋士が活躍し、 国内の囲碁熱が一気に高まった時期でもあります。

戦後 - 国際化と新たな挑戦

戦後になると、日中韓の囲碁交流が再開され、 国際棋戦が活発化し始めました。
女流棋士制度の創設によって、 杉内寿子など女性棋士も台頭し、囲碁界は多様性を増していきます。
国際的な視野での囲碁の普及やレベル向上が進み、 世界的な競技としての地位を確立していきました。

現代 - AI時代の到来

2016年、Googleの「AlphaGo」が李世乭九段に勝利したことで、 囲碁界は大きな転機を迎えました。
プロ棋士たちはAIを研究に取り入れ、 新しい戦術や着手が数多く生まれています。
また、日本国内では井山裕太が史上初の七大タイトル同時制覇を達成し、 国民栄誉賞を受賞するなど、囲碁の注目度がさらに高まっています。
インターネット対局の普及も相まって、 若い世代を含めた多くの人々が囲碁を楽しむ時代となりました。

今後の展望

AI技術のさらなる進化や国際棋戦の増加により、 囲碁はグローバル競技としてますます発展を続けるでしょう。
新世代の棋士や女流棋士、そしてオンライン対局が これからの囲碁界を支える重要な要素となり、 多様性と国際性がいっそう高まると期待されます。
近代から現代に至るまでの歩みが示すように、 囲碁は常に社会や技術の変化に対応しながら、 新たな魅力を生み出してきたのです。